「彫刻」カテゴリーアーカイブ

仮面芸能のふるさと

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

館長の部屋 第57話 仮面芸能のふるさと

奈良奈良県立美術館館長 籔内佐斗司

新しき春の訪れをこころよりお慶び申し上げます。そして本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

今年の干支は「癸卯(みずのとう)」です。癸は、十干では水性の陰を表します。また十二支の卯の字は「門を開く」形を表し、「万物地を冒して出づ」という意味があるそうです。

花が一斉に咲き誇る四月を「卯月」としたのは、大地の下から力強く芽吹く様を、巣穴から耳を出しているうさぎの姿とも重ねたのかもしれません。

卯の刻は午前五時から七時ごろの明け方を、卯の方位は東です。いずれも、新しいことが始まる予兆を感じさせます。

4年目に入るばかばかしいコロナ騒動と、長引くウクライナ紛争が、一刻も早く終焉することを願っています。

さて、2023年は奈良県立美術館開館50周年という記念の年です。

当館では、一年を通じてさまざまな記念行事を予定していますが、その中心にあるのは秋に開催する『仮面芸能の系譜』展です。

わが国は、世界的に見ても珍しいほど古今東西の多種多様な仮面芸能を伝えている国です。

そして大和の国は、飛鳥、天平から中世・近世を経て現代まで営々と仮面芸能が行われてきた土地柄。

7世紀前半に、わが国に最初にもたらされた外来の仮面芸能は、「伎楽(ぎがく、くれうたのまい)」でした。百済からの帰化人・味摩之(みまし)が、中国の江南地方「呉」で学んだ滑稽でいささか卑俗な仮面舞踊を、飛鳥の子どもたちを集めて習わせたと『日本書紀』には記載されています。

彼の出自については諸説あるようですが、少なくともわが国における音楽を伴った仮面芸能の始祖といって間違いではないでしょう。

また仏教の興隆に合わせ、聖徳太子とその腹心であった秦河勝(はたのかわかつ)も、中国の宮廷楽舞の雅楽や舞楽の導入に大きな功績があったと伝えられています。やがて、朝廷に音楽芸能を司る「雅楽寮」という部署が設けられ、アジアのさまざまな音楽や芸能を行う楽人や芸人を招聘したり育成しました。

とくに東大寺大仏の開眼法要時に催行する大イベントのために、唐の公式楽舞である唐楽や、朝鮮半島の高麗楽、新羅楽、東南アジアの林邑楽、また中央アジアの胡楽やインドまでの世界中の楽舞が導入されました。

そして、これらがその後のわが国の楽劇や邦楽の基礎となったことを考えると、東大寺大仏開眼供養会の影響の大きさは偉大です。

平安時代以降、雅楽や舞楽が朝廷の公式楽舞として再編されたために、現在行われている雅楽・舞楽はたいへん生真面目な印象です。

しかし、当初は唐王朝で催された「散楽・百戯」といった物真似や曲芸、相撲のような娯楽性の高い演芸もたくさん含まれていたようです。

獅子舞や独楽回し、曲芸のような「太神楽(だいかぐら)」、また漫才などの源流はこの散楽・百戯だったのです。こ

れらが中世の猿楽(申楽)や田楽そして能などへ発展していきました。

平城京の寺院で催されていた伎楽は、平安京では徐々に廃れ、鎌倉時代頃にはほぼ廃絶しました。

現在系統だって残っている伎楽の遺品は、正倉院や東博の法隆寺宝物館に残されているのみで、中国にもごくわずかしか残っていません。

中国江南地方の伎楽を研究しようとすれば日本に残された資料を元にするしかありません。

伎楽が廃れる一方、華北の文化である「雅楽・舞楽」は隆盛となりました。しかし、伎楽に用いられた仮面は、修験者らによって寺院から持ち出され、彼らの祭礼などに用いられ、それが追儺会や神楽やなどのさまざまな民間芸能へと発展したのではないかと私は考えています。

伎楽の先頭を歩いた鼻の大きな「治道(ちどう)」は大天狗に、「迦楼羅」は烏天狗に、「崑崙」は鬼面になっていったのではないでしょうか。

また中世期、三輪山の周辺には仮面芸能の四座である円満井(金春)、結崎(観世)、宝生(外山)、坂戸(金剛)が形成され、それぞれに秦河勝を始祖とする伝承を持っています。

またそれらと、天台系寺院の常行三昧堂の後戸に祀られた「摩多羅神(翁面)」との関係が考えられます。

秋の記念展に先駈け、プレイベントとして3月4日(土)5日(日)に、奈良春日野フォーラム甍(いらか)において、パンフレットのような仮面芸能の公演およびトークイベントを開催します。

まず3月4日(土)12:45から、法政大学能楽研究所所長の宮本圭造氏による基調講演「仮面の魔力」を行います。

そのあと、落語家・桂吉坊の司会で、トークイベント。宮本氏を囲んで、能楽鼓方人間国宝・大倉源次郎氏、奈良の生き字引・岡本彰夫氏(奈良県立大学客員教授、元春日大社権宮司)、および私が登壇します。

いずれ劣らぬ論客(私は別として)によって、きっと盛り上がることでしょう。公演は、茂山千三郎さん&平成伎楽団「茂山組」による新作狂言「大和西瓜」、島根県の遊福神楽保持者会による「石見神楽 ヤマタノオロチ」。  3月5日(日)12:45からは、南都楽所による舞楽、京都鬼剣舞による鬼剣舞、そして金春流能楽師・金春穂高氏の能楽という、ふだんでは見られない番組構成になっています。

お席に限りがありますので、興味のある方は早めにお申し込みを。

奈良県立美術館公式ホームページ;https://www.pref.nara.jp/11842.htm 図版クレジット)篆書体「卯」 東京国立博物館法隆寺宝物館 伎楽面 治道   倣法隆寺献納宝物 伎楽面 呉公 籔内佐斗司・作(2022)  倣正倉院宝物伎楽面 崑崙 籔内佐斗司・作(2021)    平成伎楽団「茂山組」『大和西瓜』(2013)

 


*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました。


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館長の部屋

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

館長の部屋 第56話 ナチスドイツ

奈良県立美術館館長 籔内佐斗司

ビックリさせられることの多かった今年ですが、そのなかでも12月7日に起こったドイツの極右組織によるクーデター未遂事件で多くの人が逮捕されたことにはほんとうに驚きました。

中心となったライヒスビュルガー(帝国市民運動)という団体は、表向きはビスマルク(1815〜1898)が1871年に打ち建てた「ドイツ第二帝国復興」を目指しているそうですが、本音は「ナチス第三帝国(1933〜1945)」の再興だとか。

しかし、ナチスに関わる紋章や旗を用いることが法律で厳しく禁止されているために、表向きは「第二帝国復興」を隠れみのにしているとのこと。

ネオナチの存在は知っていましたが、こういう具体的な動きがあったことに衝撃を受けました。

ずいぶん前のことですが、ドイツ人の知人に、「今でも延々と作られている極悪非道なナチスドイツを描いた映画を、今のドイツ人はどのように観ているの?」と訊いたところ、ふだんは論理的で饒舌な彼が、ややこまったような表情をしたあとに、無言で肩をすくめたのが印象的でした。

しかし最近の世論調査で、ドイツ国民の約20%が排外的指向を明確にもち、移民への反発などの潜在的な指向性を持つ30%を含むとなんと排外主義が50%に昇るとのこと。

2021年に「Make America Great Again」「America’s First」を主張したトランプ氏を支持する一団が連邦議会議事堂を占拠したり、今年イタリアで極右政党が政権をとったりと、世界は大きく右傾化を強めているのは確かです。

もちろんロシアのプーチン大統領や中国の習近平主席の政策も独裁的な国家主義が明らかですし、第二次大戦後に築き上げられた世界の枠組みが大きく変わろうとしていることを感じます。

国連が主導するバラ色のグローバル社会や多様性が世界の合い言葉になっているかのように日本政府やマスコミは囃し立ててきましたが、世界はかなり以前から逆回転をしていたわけです。

ナチスドイツが、第二次大戦時に組織的に行った極悪非道な行為に弁護の余地はまったくありませんが、あまりにもその行為がひどすぎたために、あの時代にドイツが創案、実用化したさまざまな先進技術についてまで正当に評価されずに、私たちは戦後の科学技術の多くを米ソが開発したものだと思い込まされています。

一番顕著なのは、宇宙開発やICBMのようなロケット技術で、ナチスドイツの技術がなければ米ソの宇宙競争も月面への到達も数十年遅れたといわれています。

1943年に政敵に幽閉されていたムッソリーニを救出したのは、世界に先駈けて運用を始めたドイツ軍のヘリコプターでした。

また1944年に世界最初に実戦投入されたジェット戦闘機はメッサーシュミット社のMe262です。

速度無制限のアウトバーンや通信システムの原形も、ヒトラー政権が実現したものですし、テレビ放送や公衆電話、テープレコーダもドイツが最初に実用化しています。

高速道路で結ぶモータリゼーションはアメリカが発祥と思われがちですが、Dデイ後にドイツに進駐したアイゼンハワー元帥がアウトバーンに驚愕し、彼が大統領になってからアメリカ全土を結ぶ州間高速道路網を急いで整備しました。

またアウトバーンを走らせる低価格の国民車フォルクスワーゲンの性能は、当時のアメリカの大衆車を凌駕していましたし、自動車の性能を高める自動車レースも、ポルシェに代表されるドイツ車の独壇場でした。

現代の各国軍隊が運用している長射程のライフル銃と短機関銃の長所を併せ持ったアサルトライフルは、ナチスドイツが1944年に制式化したシュトゥルムゲヴェーア(StG44)が最初で、戦後に配備されたソ連のAK47や、ベトナム戦争時に制式化されたM16A1などの機構やシルエットはそっくりで、その先進性に驚きます。

またヒトラーは、非常に健康に気をつけていたために、徹底した禁煙と菜食主義者で、現代の風潮を先取りしていました。

狩猟好きのヘルマン・ゲーリングは、古代ゲルマンの森林と生態系を再現するために、時代に先駈けた自然保護法を制定したことでも知られます。

オリンピックでは、聖火リレーや盛大な開会式、芸術的な記録映画、ラジオの実況中継などなど、1934年のベルリンオリンピックに始まったものがたくさんあります。

今の日本社会では当たり前の税金の源泉徴収制度も、ナチス時代に実施されたものです。

かつてユダヤ人の知人と話していたとき、「現代のユダヤ人は、これから生まれてくる子孫たちのために、タナッハ(ユダヤ教の聖書)の続編を書き続けているのです」といわれて、面食らったことがあります。「そして、ナチスが行ったことを歴史的事実として記録し、ドイツ人は将来に亘って一切反論できない状況を、われわれは文学や映像作品、マスコミなどを総動員して創り出している。これが私たちのやり方です。

タナッハを、現代も語り継いでいるのです」と。

物騒で殺伐とした話題でいっぱいだった今年ですが、来年こそは世界が幸せで安寧であるよう願っています。

図版) ・V2ロケット  ・Me262   ・アウトバーンとフォルクスワーゲン(1943) ・1944年 StG44 ・1947年 AK47 ・1962年 M16A1

 


*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました。

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ミス・インターナショナル ビューティページェント2022 世界大会

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・・・

華やかです

 

 

 

 

 

美容大手のミスパリと国際文化協会が主催する「ミス・インターナショナル ビューティページェント2022 世界大会」が、12月13日(火)に東京ドームシティホールで開催され、華やかな美の祭典が繰り広げられました。

今年のグランプリは、180cmのミスドイツ。来春開学予定のミスパリ学園ビューティ&ウエルネス専門職大学副学長の立場で、同大学スカラーシップを1位から5位のミスに贈呈させていただきました。とても自分と同じ種類の生きものとは思えない美神たちに見下ろされながら、至福のひとときを過ごしました。

しかし毎年思うことですが、やっぱり私には、やまとなでしこが一番こころ安まります。

 

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復元模刻像

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・

復元模刻像だそうです・・・凄い!

 

 

 

 

 

 

 

昨年3月末で退任した東京藝術大学大学院文化財保存学専攻彫刻領域の最後の教え子である朱若麟くんが、12月9日(金)に博士課程5年間の集大成となる研究業績を藝大美術館で発表しました。
奈良県桜井市の名刹・聖林寺に安置されている天平時代屈指の十一面観音立像(国宝)の台座光背まで含めたみごとな復元模刻像です。
 明治時代の岡倉天心以来、美術院、東京美術学校(現・東京藝大)、正倉院、東京国立博物館などで営々と続けられてきた国宝の模造制作のなかでも、出色のできといえます。
わが国の文化財保護の特徴である造られた当初の材料と技法を復元し継承するということを、中国からの留学生である朱若麟くんが実践してくれました。

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月読大将(木彫)

本日も籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・・

先日ご案内したブロンズ作品・・・・・・・・の木彫作品のご案内です。

 

 

 

 

 

 

 

【新作木彫『月読大将』のご案内】 2023年令和五年の干支は、癸卯(みずのとう)です。 暦の本によると「今までの努力が稔る歳」とありました。長く続いたコロナ騒ぎやウクライナ問題も、すっきりさっぱり終息してほしいものです。 そんな願いを込めた新作木彫は護法善神「月読大将(つきよみたいしょう)」です。来年こそは、明るく幸せな一年になりますように。

 

 


*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました

 


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