名古屋市から少し離れておりますが、6/26より奈良県立美術館にて開催されますウィリアム・モリス展のご案内です。
下部には館長である籔内佐斗司氏のコメントも掲載してあります。
19世紀のイギリスで、芸術家、詩人、作家、思想家、社会運動家などとして、幅広く活躍したウィリアム・モリス。芸術と生活の統一を目指してモダン・デザインを提唱したアーツ・アンド・クラフツ運動を先導し、“モダン・デザインの父”としても知られています。
本展は、これまで光をあてられることが少なかったモリスの幼少期や学生時代に始まり、晩年に至るまでの、デザイナーとしてのモリスの生涯をひもとく展覧会だ。本格的に装飾芸術を取り組むようになった初期に手がけられた《柘榴あるいは果実》や、モチーフを反復させるデザインに磨きをかけた《るりはこべ》、色鮮やかな《いちご泥棒》といったデザイン作品とともに、その軌跡を紹介します。
展覧会概要
特別展「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」
会期:2021年6月26日(土)~8月29日(日)
会場:奈良県立美術館
住所:奈良県奈良市登大路町10-6
開館時間:9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(8月9日(月・振替休日)は開館)、8月10日(火)
観覧料:一般 1,200円、大・高生 1,000円、中・小生 800円
※団体料金の設定はなし
※身体障がい者手帳・療養手帳・精神障がい者保健福祉手帳の所持者と介助者1人、外国人観光客(長期滞在者・留学生を含む)と付添の観光ボランティアガイドは無料
【問い合わせ先】
奈良県立美術館
TEL:0742-23-3968
籔内佐斗司氏のコメント
6月26日から奈良県立美術館で始まる『ウィリアム・モリス展』について、随想を寄稿しました。
【館長の部屋】Cotswolds
英国は、先鋭的な音楽や美術の発信源として知られますが、大都市を離れた田舎のゆったりとした風光は、私たち日本人にもたいへん魅力的です。
ロンドンの西に位置するCotswolds (コッツウォルズ)地方は穏やかな丘陵地帯です。17世紀には羊毛の集散地として栄え、その名も「羊が丘」という意味とか。蜂蜜色と形容される落ち着いた石灰岩(コッツウォルズストーン)で造られた建物は、産業革命以前のよき英国の情緒を感じさせてくれます。この地方が英国経済を牽引する活況を呈した時代もありましたが、19世紀の産業革命による「経済成長」から取り残され、18世紀で時が止まったような街並みが残りました。しかしかえってそれが魅力になって、現在では観光地としてたいへん注目されています。そして、コッツウォルズの住民の生活様式は、今注目のSDGs・持続可能な経済発展の格好の例として、大いに見直されています。
40歳代のウィリアム・モリス(1834〜1896)が、この地方のKelmscott(ケルムスコット)という村に住んでいた頃に、彼の代表作であるたくさんの織物製品が生み出されました。その魅力的な植物模様の源泉は、高度経済成長下のロンドンではなく、この地方の豊かな自然と美しい風景の中から生まれたといっても過言ではないでしょう。・・・
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