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仮面

本日は仮面芸能について・・・・・

日本の仮面芸能−序説
奈良県立美術館館長・籔内佐斗司
世界にはたくさんの仮面芸能がありますが、わが国で現代に伝えられ演じられているものは、その由緒の古さや種類の豊富さ、舞台芸術としての完成度において、世界に比類のないものといえます。
それは古代から、祖霊の崇拝と、天地長久、子孫繁栄、五穀豊穣、悪疫退散などへの祈願と信仰にしっかりと結びついてきたために、単なる遊興や演劇に堕することなく、大切に真摯に演じられてきた結果だといえるでしょう。そして、仮面に表された顔は、まぎれもなく日本人の肖像なのです。
 岩手県や青森県の縄文時代の遺跡からは、土で造った仮面が多く見つかります。
おそらく土偶のような葬送や霊魂にかかわるものではないかと思われます。この時代の土面のなかで、注目すべきは天理大学参考館所蔵の「鼻曲がり」といわれる仮面です。
青森近辺で多く出土するこの仮面が何を表し、その用途は何かはわかっていませんが、日本の仮面芸能の原点を考える上で大変重要です。そして、その鼻のかたちが、平安時代の舞楽で用いられる「胡徳楽(ことくらく)」の仮面とそっくりなのが、とても興味をひきます。
 一方、弥生時代から古墳時代の仮面としては、数年前に桜井市の巻向遺跡(まきむくいせき)から、木製の鍬を転用したと思われる仮面状のものが出土しました。
農具であったとしたら豊作祈願に関わる「祭礼」に用いたと考えられます。
 6世紀になると、仏教とともに、さまざまな音楽や芸能も伝来しました。
その代表が「伎楽(ぎがく)・呉楽(くれうたのまい)」です。
もともとは仏教とは関係なかった音楽や芸能が、平城京の仏教寺院の祭礼で催されるようになり、仏教が日本土着の神概念や豊作祈願と渾然一体化していった経緯が想像されます。
それが原点となって、仮面芸能の多くが、豊作を祈願する「予祝」や先祖の祭礼に関係し、外来の伎楽や舞楽とともに、田楽、猿楽(能楽)、狂言、神楽などへと発展していったのでしょう。
 平城京から平安京に遷都後、伎楽が南都寺院との繋がりが強すぎたためか、はたまた滑稽で卑俗な表現が大宮人に嫌われたためか、芸能としては急速に衰退しました。
しかしその大ぶりな仮面を修験者らが寺外に持ち出して、修験道の祭礼などで用いるようになりました。
天狗は、中国の原義では流れ星(彗星)のことですが、わが国では伎楽行列の先頭を勤めた治道(ちどう)が猿田彦やスサノオと習合し、山伏たちの行列で天狗と呼ばれるようになり、伎楽で火食鳥を表した迦楼羅(ガルーダ)面が天狗の従者として烏天狗となり、南洋の黒人を表した崑崙(こんろん)面が追儺会などで鬼面として転用されたのではないかと私は思っています。こうしたお面は、やがて修験者を通じて里神楽や神社の祭礼などに承け嗣がれて、民俗芸能、伝統芸能として民衆に愛され現代に至っています。
このように、舞楽や能とは別に、庶民の仮面芸能として日本人の歴史とともに歩んできたものなのです。
 では次回は、飛鳥時代に伝わった「伎楽」について、詳しくお話ししたいと思います。
【土面鼻曲がり 画像 (天理参考館)】【舞楽面「胡徳楽」(法隆寺)】【巻向遺跡出土木製仮面 Wikipedia】
*内容は籔内佐斗司氏よりお借りしました。

 

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本年はコロナの影響により、いくつもの企画展が中止になったり自粛時間が長く大変影響を受けた一年になりました。

その反面、多くの出会いや新しい事業の展開もあり例年には無い一年でもありました。

いろいろな出会いをありがとうございました。

 

本年も残り僅か、皆様良いお年をお迎えください。

 

来年も宜しくお願い申し上げます。

 

一日も早くコロナが収束しますように!

 

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お知らせ

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籔内佐斗司氏の来年の干支ブロンズ作品が昨日に弊社に届きました。

検品も無事に済みましたので本日よりお届けのご連絡をさせて頂く予定でございます。

現品は彩色・色付けが凄く良かったです。

梱包してから気が付きましたが、画像を撮り忘れておりました。

 

 

 

 

 

来年の暦にも使用されました・・・・・

 

ご成約を頂いた皆様、ありがとうございました。

暫しご連絡お待ちくださいませ。

宜しくお願い申し上げます。

 


 

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日本のことば

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・

 

 

日本のことば

奈良県立美術館館長 籔内佐斗司

文化とは、ことばと文字が具体化したものの総体です。

それは、文学や文芸などの形式で物語化・Narrativationされ、また演劇や美術などの藝術化・Artificationされて可視化・Visualizationし、初めて伝承されるものです。

そして文化には、自分たちの歴史のなかから生まれたものと、他の文化や文明から受容したものが混在しています。ですから、わが国のように多様な外来文化を波状的に受容してきた島国では、日本を知るために、つねに文化の原典を検証する作業が大切です。

そして、ことばはもちろん、伝承された物語や文芸、芸能をないがしろにすると、固有の文化はすぐに衰退し、新しい文化に侵食されますから、ことばはほんとうに大切にしたいものです。

最近発表された国際連携による言語学研究によると、原始日本語の源流は、9000年ほど前の今の中国東北地区の西遼河あたりの農耕民のことばの可能性が指摘されました。

しかし、紀元前14000年ころから始まったといわれる縄文時代前期の言葉との連環は不明なままです。

一方、縄文晩期から弥生初期の時期には、黄河流域や長江流域のひとびとが断続的に朝鮮半島に移住し、その一部が日本列島にも渡ってきたと考えられます。

古事記神話の高天原とは、そのような遠い遠い祖先の原郷の記憶であったのかも知れません。

古代朝鮮半島南部には、三韓(馬韓、弁韓、辰韓)およびその後裔である三国(百済、高句麗、新羅)や最南端の伽耶諸国(狗邪韓国、加羅、金官、任那など)が割拠しました。

そのうち、北九州と密接な関係にあり、三国によって押し出されるように滅亡した伽耶諸国からは多くの知識人や工人が倭に渡来しました。

彼らは、後漢の霊帝(2C)の子孫を自認して漢人(あやひと)と称し、朝廷の実務に携わりました。

彼らのうち、早くに飛鳥地方に定住した一族は、東漢氏(やまとのあやうじ)として、当時の大和朝廷の近代化に大きく貢献したと考えられます。

また遅れて渡来し河内湖沿岸に定住した一族である西漢氏(かわちのあやうじ)は、応神天皇の頃に楽浪郡から百済を経て漢字をもたらしたといわれる王仁(わに)の後裔を自称し、事務官僚の史(ふひと)として朝廷に仕えました。

中国大陸に出自を求めて権威付けている点で、秦の始皇帝の圧政を逃れて、辰韓・新羅に移住した一族の後裔を称する職能民集団・秦氏と似ています。

そして古墳時代後期(5C)に、漢字の音を用いて倭語を表現するためにあみだされたのが万葉仮名ですが、やがてそれをもとに流麗な平仮名が生まれ、平安時代になって漢字と平仮名が交じった「漢字仮名交じり」の文体が普及しました。

このように、日本語は断続的にもたらされた海外の言葉を取り入れつつ、それまでの言葉と融合させてきた歴史があります。

現代は、未曾有の外来語が押し寄せている時代です。これを賢く受容しつつ、しかも日本語の美しさをどのように維持し創造するか、民族としての大きな問題です。

日本の国文学者であり民俗学者・思想家の折口信夫(1887−1953)の文章は、活字になったときの見た目もたいへん柔らかく美しいことで知られます。

それは、「ようろっぱ、あめりか、えるされむ、おぞん」のように外来語もひらがな、即ち「やまとことば」で表記しているからです。

昨今の安易で怪しげなカタカナ語の洪水を思うとき、詩集『現代襤褸集』に書かれた彼のことばへの思いは、心に重く響きます。

さやかなり日本のことば-  わが心 こゝにいき  わが命 これに璽(おして)す  ちなみに、本稿では、「カタカナ」という言葉以外にカタカナ語を用いていないことにお気づきになりましたか?

図版;折口信夫

 

 

*画像・内容は籔内佐斗司氏よりお借りしました。


 

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