「籔内佐斗司」カテゴリーアーカイブ

光と影

本日も籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・・・

 

 

 

アメリカ合衆国の光と影
奈良県立美術館館長 籔内佐斗司
 1953年生まれの私は、アメリカのテレビ番組にどっぷり浸かった子ども時代を過ごしました。
広い芝生の庭を持った大邸宅に暮らす豊かで善良な「白人一家」のドラマや、おしゃれでかっこいい白人の音楽や映画に夢中でした。
そして戦争ドラマで、邪悪なドイツ兵(時として日本兵も)を懲らしめる勇敢な正義の米兵に憧れ、第三次世界大戦を引き起こすのは、ソ連や中華人民共和国だと信じていました。
しかし中学生になったころから、ベトナムでの米軍の苦戦の様子や残虐行為が明るみに出て、また米国内の人種差別や血みどろのロサンゼルス暴動、ケネディー兄弟やキング牧師の暗殺、そしてウォーターゲート事件など、米国の暗部がつぎつぎとさらけ出されたことで、私の米国観が揺らぎ始めました。
1915年に作られたアメリカ映画の最初の長編作品として知られる『國民の創成』では、南北戦争後の合衆国再建を時代背景に、白人良家の暮らしぶりや解放奴隷が引き起こす犯罪などを、WASP(White, Angro-Saxon, Protestant)
の視点で描いています。
興味深いのは、白人少女殺害の容疑をかけられた黒人を、顔を黒く塗った白人俳優が演じていることです。
映画では、終始、黒人を無知で野蛮で暴力的な人物として描き、彼らを成敗するKKK(北方人種至上主義結社)を完全な正義の味方として描いています。
リンカーンが発議した奴隷解放の象徴である「憲法修正第13条」は、「法の下での自由と平等」を謳っています。
それは、基本的人権としての自由ではなく、「法を犯した者はそれに含めない」という抜け穴がありました。
そして各州が独自に人種を選別する州法を制定すれば、それに基づく差別や分離は合法になってしまいます。その端的な例が1876年から1964年まで米国南部諸州で効力を発揮した「ジムクロウ法」、即ち「黒人の一般公共施設の利用を禁止、制限する法律」です。
ここでいう黒人とは、「アフリカ系黒人」だけでなく、「一滴規定・One Drop Rule(有色人種の血が混合しているものはすべて黒人と見做す)」に基づき、アメリカ先住民やアジア人など、すべての有色人種が含まれており、ナチスの民族浄化思想と変わりません。
私が1980年代末にニューヨークで個展をしたとき、画廊のスタッフに褐色の肌にほとんど白人のような顔立ちの女性がいました。
ほかのスタッフに「彼女はどこの国の人?」と訊いたら、「もちろんアメリカ人。彼女のお母さんが、黒人と白人の混血」と答えくれました。
「黒人と白人の結婚が認められたのはいつ?」と訊いたら、とても答えにくそうに「南部では、両親が結婚していない混血の黒人がとても多いの」と教えてくれました。
その時はよく意味がわからなかったのですが、あとで考えれば白人男性による黒人女性への日常的な暴行の結果だったと知りました。
米国は、公的な国民皆保険制度のない唯一の先進国と言われます。
コロナ騒動の初期に、米国でコロナ肺炎の死亡者が激増して驚きましたが、その多くが医療保健に未加入で、高熱が出ても病院から診療や入院を拒絶された人たちでした。
また殆どの救急車が民営事業であるために、搬送される前に規定料金を払えるかどうかを確認されるとのこと。
民主党のオバマ大統領が「医療保険制度改革法(オバマケア)」を成立させました。
しかし、いまだに貧困層の無保険者が2500〜3000万人に登るなど、皆保険とはほど遠い現状です。
米国では、民間の医療保険の高額な掛け金が払える富裕層は世界最高の手篤い医療が受けられる一方、保健未加入の貧困層は病院で門前払いされるという、国民健康保険に慣れた日本人には想像もできない現実があります。
 いうまでもなくアメリカ合衆国にも見習うべき点はたくさんあります。
世界を牽引する国家としての矜持と実行力。移民の国として世界中から集まってきた知性と文化の集積とそのたくみな活用。
そして最高水準の魅力的な美術や音楽、演劇、映像作品、そしてスポーツや娯楽などの各分野で、時代の寵児を生み出すシステム。
しかし、そのすべてが資本主義の論理に基づいて富裕層に利益がもたらされる構造です。
米国の人口は世界の5%ですが、囚人の数では世界の収監者の20%といわれます。
その異常な数字の背景には、民営矯正施設という刑務所産業の存在があります。
安価な労働力として囚人労働者が必要とされ、ささいな犯罪でも黒人を収監してしまう現代の奴隷制度ともいわれます。
こうした資本主義の総本山・米国の現実と矛盾を知ると、「日本は、けっこういい国」に見えるのは私だけではないと思います。
図版)
『パパは何でも知っている』(出典;BIGLOBEウエブリブログ)
『うちのママは世界一』(出典;web0909124.jpg)
『國民の創成 The Birth of a Nation』で白人俳優が演じている黒人

 


 

 

*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました。

 

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繊月坊

本日は籔内佐斗司氏の新作木彫のご紹介です。

うさぎの帽子がGOODです☺・・・・すべて木彫です。

 

籔内佐斗司氏談
新作木彫のご案内;
梅雨がなかった今年ですが、猛暑はしっかりとやって来ました。みなさま、くれぐれもご自愛ください。
三日月のことを古いことばで「繊月(せんげつ)」ともいいます。
お月見には早いですが、真夏の一夜、空を見上げてお月さまを探してみましょう。
もしかしたら、「繊月坊」が笛を吹いているかも知れません。

*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました。

 

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スウェーデン

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・・・・

懐かしい・・・SAAB・・当時、お洒落な輸入自動車ランクに入っておりました🚘

 

 

 

 

スウェーデン
奈良県立美術館館長 籔内佐斗司
 今年話題になった日本映画『ドライブマイカー』で、主役級の働きをした自動車が、スウェーデン製の赤いSAABでした。
この車は、私の友人が所有しているものを貸し出したのですが、彼は30年以上の年代物とは思えない頑丈さをいつも自慢しています。
SAAB社は、戦前から軍用機メーカーとして有名で、現在でも、SAAB 39グリペンという優れたジェット戦闘機や、信頼度の高い民間航空機を製造しています。
またスウェーデンの代名詞ともいえるVolvo車も、堅牢な車体や雪道での走破性のほか、現在もっとも普及している三点支持のシートベルトやヘッドレストを世界に先駈けて搭載したことからもわかるように、人命尊重の思想がたいへん高い国といえます。
その他、家具販売のIKEAや、抗がん剤やコロナワクチンでも知られる製薬メーカー・アストラゼネカ(本社は英国)など、この国の新規開発力や発信力は絶大です。
そんなスウェーデンは、わが国土よりやや大きい程度ですが、人口は10分の1以下の1.000万人強です。
しかしながら、ノーベル賞は言うに及ばず、科学技術、工業製品、ライフスタイル、アート、デザイン、ポップミュージックまで世界に大変な影響力があり、10倍以上の人口を抱えるわが国に比べると、この国の発信力は驚異的です。
最近、K-POPの活躍が著しいですが、韓国の国家を挙げての芸能支援体制は、世界を席巻したABBA、Ace of Base、The Cardigansなどの独特の空気感を持つSwedish Popsの海外戦略をお手本にしたのではと感じます。
経済的にはEUに所属しますが、ロシアと国境を接している関係から政治的にはNATOには加わらず、ノルディックバランスというきわどい中立を貫いてきました。
ロシアやドイツなどの侵略に曝されてきた歴史から、兵役義務に支えられた「武装中立」という現実的な国防政策を採っており、強力で優れた国防力を持っています。
しかし、ロシアのウクライナ侵略によって、今後、外交政策が大きく変化していくかもしれません。また経済的には、連帯的賃金政策を採り、就労の流動性によって生産性を高め、重い税負担とひきかえの手篤い社会福祉による高い幸福感を提供しています。
第二次大戦では、ナチスドイツがフィンランド、ノルウェー、デンマークなどへ次々と侵攻していく中、唯一独立を保持し続けたことは、バイキングの血を引くこの国の気概を感じます。
グスタフ国王を戴くスウェーデン人の気骨は、今回の新型コロナへの対応でも見事に発揮されました。
独立自尊の気風が旺盛な国民性は、この病の特徴をいち早く分析して読み切り、隔離や行動規制などをすることなく、集団免疫獲得を目指す方針を取りました。
途中に急激な感染拡大が起こり、なんと国王自身も感染しましたが、政府方針は揺らぐことなく、結果的にはいち早く終息させました。
EU諸国も、いまではスウェーデンの方式に倣って政策を転換し、社会や経済を正常化させています。
一方、安倍政権や菅政権時のわが国のコロナ対応は、野党やマスコミの無責任な批判にもかかわらず、結果から見れば充分に成功したと私は評価しています。
ただ、果断な勇気をもって幕引きをしなければいけない現政権の指導力のなさは情けない限りです。
いまだに感染者数の増加に右往左往し、いつまでたっても感染症の分類レベルを第五類まで引き下げる決断もできず、外国人へのビザ発給を制限し、ぐずぐずとマスク生活を引きずっています。
EUと米国では、5月の時点で政治も経済も文化交流も生活も、すでにコロナ以前に回復させたというのに、あいかわらず日本国民は三密を怖れ、あまり意味があるとは思えないアルコールスプレーでの手指消毒をしながら、酷暑の中のマスク生活を送っています。
「個」が確立した強い胆力を持った大人の国・スウェーデンにくらべると、つくづく日本は決断力のない幼稚な国だといわざるを得ません。
なお本稿執筆中の2022年7月8日に、安倍晋三氏が奈良市内でテロの凶弾に倒れられました。政治・経済・外交における彼の業績をあらためて評価しつつ、こころより哀悼の意を表します。
(図版クレジット)
SAAB900 turbo (YM Works.comより)
SAAB 39グリペン戦闘機
スウェーデンと日本(https://ja.wikipedia.org/

 


*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました。
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「倣」

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・・・

これぞ籔内佐斗司作品・・・・卑俗で滑稽な道化役な感じが木彫にて表現されてます。

 

 

 

 

 

籔内佐斗司氏談
「倣」という字があります。
「ほう・ならう」と読みますが、優れた原本に倣って制作や表現をして、その技法や造形を修得することです。
「温故知新」といわれるように、私たちは美術工芸だけでなく、書や演劇など、優れた過去の遺産や先人の仕事に倣うという修業方法を用いて、有形・無形の文化遺産を伝承し発展させてきました。
この作品「倣正倉院伎楽面 崑崙面」は、正倉院に伝来した天平時代の仮面芸能・伎楽(ぎがく・くれうたのまい)に用いられた仮面に倣った作品です。
「崑崙」とは、シルクロードから唐にやってきたソグド商人たちに使役されていた粗野な従者たちをキャラクター化したものと言われ、伎楽のなかではいささか卑俗で滑稽な道化役を与えられました。
若い頃から伎楽面に魅了されてきた私ですので、それらに倣った作品をいくつか制作してきました。
この作品は、そのシリーズの最新作で、実際に被って演じることができます。
これからも折りを見て、「倣伎楽面」の制作を楽しみたいと思っています。

*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました。

 

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解体新書

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・企画展のご案内です。

奥が深い・・・・。

東海地方からは少し距離がございますが、タイミングの合う皆様は是非ご覧下さいませ。

 

 

 

 

解体新書
奈良県立美術館館長 籔内佐斗司
 『解体新書』とは、申し上げるまでもなく、1774年にオランダ語の書籍から漢文に翻訳し出版されたわが国最初の解剖学の解説および図鑑です。
著者は、杉田玄白、前野良沢らですが、翻訳を始めた当初、ふたりともオランダ語はあまり堪能ではなかったので、初版は暗号解読のように手探りで、誤訳だらけだったそうです。
その辺の事情を、前野良沢は『蘭学事始』で赤裸々に披瀝しています。
その努力のおかげで、日蘭辞書が完成し、江戸時代の西洋医学の基礎が確立され、蘭学が飛躍的に発展しました。
 『解体新書』は、ドイツ人医師ヨハン・アダム・クルムスの医学書 『Anatomische Tabellen』のオランダ語版『ターヘルアナトミア』を底本に杉田玄白らが数冊の洋書の解剖学図譜を参考にし、その図解篇『解軆圖』は、江戸時代の油画の先駆者である秋田藩士・小田野直武(1750〜1780)が担当しました。
『解体新書』は、ただの翻訳本ではなく、時代を開こうとする若き研究者たちの気概溢れる感動的な金字塔です。
蘭画家・小田野直武による解体図篇表紙
私は、2004年から2021年にかけて東京藝術大学大学院文化財保存学教授として、古い仏像の材料・技法と、修復の研究に携わりました。
ふだんは、長ったらしい肩書きの代わりに、分かりやすく「仏像のお医者さんです」と自己紹介したものです。
そして退任前に17年間の講座の研究業績をまとめたのが『古典彫刻技法大全』(監修・共著、求龍堂)です。
私は当初、この本の書名を『仏像解体新書』にしようと思っていましたが、出版社の編集部と相談して、書名ではなく腰巻きにその名を残すことにしました。
 では『古典彫刻技法大全』から、私が東京藝大文化財保存学在任中の学生やスタッフたちが行った仏像研究のほんの触りをご紹介しましょう。
表面から見ただけでは分からない仏像内部の秘密を解明する『仏像解体新書』です。
 まずはじめは、興福寺国宝館に安置されている『天燈鬼立像』です。
この有名な像は、なんと制作途中に腰のあたりで横にまっぷたつに切り離して、そこに三角材を嵌め込んで上半身を大きく右に傾け、鬼の激しい動勢を創り出していたことを、益田芳樹くんが解明しました。(『興福寺 国宝館 天灯鬼立像の構造と技法』2008)
次は、円成寺の『大日如来坐像』です。
本像は、上半身を裸の状態で造形し、その上に薄く彫刻した条帛を貼り付けていることを藤曲隆哉くんが実証しました。
加えて、体幹材を、木取りの段階で4度後ろに傾けることによって、大らかな若々しい大日如来の造形を造っていることも分かりました。(『円成寺大日如来坐像の構造と技法』2012)
次は東大寺中性院の『弥勒菩薩立像』です。鎌倉時代中期のたいへん精緻な菩薩立像ですが、この研究を行った小島久典くんの詳細な研究と再現作業によって、実に複雑な改変を加えていることが分かりました。(『東大寺中性院 菩薩立像の構造と技法の研究』2018)
最後は、茨城県の雨引山楽法寺の『金剛力士立像』の修復です。
本像は、2mを超えるみごとなカヤ材一木割り矧ぎ造の金剛力士像ですが、興福寺国宝館の金剛力士立像の系譜を引くことがわかり、また明治初めに焼失してしまった京都 東寺南大門の金剛力士像も、残された画像の姿から同じ系統であったと考えられます。鎌倉仏師の造形力の見事さに驚かされました。
以上の詳細は、ぜひ『古典彫刻技法大全』をご覧下さい。
また文化財保存学の業績のほんの一部ですが、東大寺ミュージアムやなら歴史芸術文化村ギャラリーにも展示されています。
 さて奈良県立美術館の夏の企画展では、7月16日(土)から8月28日(日)まで、館蔵コレクション展『「美術」ってナニ?美術・解体新書』を開催致します。
展覧会パンフレットには、「(館蔵の選りすぐりを)素材や技法、主題といった基本的な事柄から、制作背景や意図、意味や目的など、作品を理解する上で役に立つような知識や情報を分かりやすく解説し、その魅力と特徴を紹介」と、担当学芸員が書いています。
ちょっとわかりにくい表現ですが、ただいま担当者が、展示について知恵を絞っているところで、お手並み拝見というところです。
猛暑の中ですが、みなさまのご来場をこころよりお待ちしています。

 

 

*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました。

 

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